「お客様目線」で会話のキャッチボールを

私がとある金融機関の窓口で保険を売っていた時のことです。

まだ新人だった私は、「保険を売る」ということを過剰に意識して接客していました。それがあってか、今思えば話の切り出し方などが全く不自然で、警戒されていたのか全く売れない状態が続いておりました。

それである時、半ば自棄になった私は、青山の高級感のあるコワーキングスペースで準備した商談資料をもとに、自社・他社問わずそれぞれの保険商品やラドン吸入器をレンタルすることの良し悪しを客観的に話してみました。「どうしても自社の商品を売りたい」というマインドは全て捨てました。そうするとどうでしょう。不思議なことに今までとお客様の反応が打って変わり、向こうから質問して下さるようになったのです。そしてその頻度に比例するように、なぜか今まで全く売れなかった保険が売れるようになっていきました。

質問されることで会話のキャッチボールが生まれます。そしてそのボールのやり取りが増えるほど、信頼関係が構築されます。ですがキャッチボールは簡単に出来るものではありません。成立させるには、お客様と目線を合わせることが重要でした。それに反して以前の私は、「お客様目線」というものはそっちのけで、とにかく売りたい、買ってほしいという一心で一方的にボールを投げていました。デマンドジェネレーションを一切無視していたわけです。そんな自分勝手な剛速球なんて、もちろん誰も受け取ってはくれません。本当に売りたいものがある時ほど、お客様の目線で客観的な視点をもってセールスするべきなんだと初めて気づかされました。

「目線を合わせること」、それはどんな上手なセールストークよりも売れるようになる秘訣だと私は思います。